第3回 LC-杯 Cブロック   


エントリーNO.13 有機丸アポロ

「狂愛スパイラル」

 

出雲:……フフフ……あとは、このプログラムを送り込めば……。(カタカタ)

遠山:……うぅ……ハッ!!こ、ここは……この拘束は……!?(ガチャガチャ)

出雲:おやおや、ようやく目が覚めたかい?名も知らぬ反乱軍の戦士くん。ようこそ、私のラボへ。

遠山:テメェは……そうか、俺は帝国軍に乗り込んで、幹部を殺そうとしたところで捕まって……。

出雲:単身乗り込んだ度胸はお見事。だがまぁ、結果的に捕まってるんだから、度胸というよりは蛮勇かな?

遠山:チッ、バカにしやがって……腐った帝国の犬野郎が!!

出雲:ハハッ、随分威勢がいいね。さては君、八百屋のせがれだな?

遠山:違ぇよ!!世界観シカトしてバカにしてくんじゃねぇよ!!
   テメェの目的はわかってんだよ、俺達の情報だろ……!?

出雲:ご名答。我々帝国に逆らう存在は、例え小バエであろうと無視出来ないからねぇ。
   君には反乱軍のアジトやメンバーの人数など、あらゆる情報を吐き出してもらうよ……!!

遠山:ハッ、残念だったなぁ!!俺達の結束を甘くみてんじゃねぇよ!!
   俺はどんな拷問にかけられても口を割る気は無いし、最悪お前を道ずれに死んでやるよ……!!

出雲:………フフフ……ハハハハ、アーッハッハッハ!!!

遠山:……何だ、何がおかしい!!

出雲:アーッハッハッハッハッハ、ハッハ、ペペコ、ペコロコヘコ!!ペコロコヘコレコティコ!!!

遠山: マジで何だ!?何それ、笑ってんの!?

出雲:フーッ……まさか私に4段笑いをさせるとは、流石は八百屋軍だ……。

遠山:八百屋じゃねぇよ反乱軍だよ!!てか3段笑いは知ってるけどそんな4段目は知らなかったぞ!!

出雲:拷問?そんな非効率的な真似はしないさ。君は自らの意思で情報を我々に渡すんだ。

遠山:何……!?

出雲:実はね、君が気絶してる間に、君の頭にある装置をつけさせてもらったんだ。

遠山:装置……?ま、まさか!?

出雲:察しがいいね。そう、それは洗脳装置「カキカエール」。

遠山:なんだそのひみつ道具みてえな洗脳装置……!!藤子不二雄しか許されねえネーミングだぞ……!!

出雲:なんだなんだ、帝王様直々のネーミングに文句あんのか。

遠山:何やってんだよテメェらのボス!そんなことより、洗脳って……!!

出雲:私がこのコンピュータに指示を入力すると、その装置に伝わり、君の意識と混同させる。
   それにより君は私のなすがまま。生殺与奪も心変わりも思い通り。
   君は命より大事な情報を、自らの意思で馬鹿みたいに吐き出すのさ……!!

遠山:ふ、ふざけんな!!そんな、てめえらに利用されるくらいなら……!!(ガバッ)
   ……………!?(プルプル)

出雲:フフッ、馬鹿みたいに口を開けてどうした?そんなバカ面じゃ立派な八百屋になれないぞ?

遠山:……な、なんで、なんで舌を噛みきれないんだ……!!俺は本気で自殺するつもりだったのに……!!

出雲:「もう八百屋はいいで候!」とかツッコんでくれよ。

遠山:そんな余裕ねぇよ!そんな武士みたいな語尾もねぇよ!テメェ、何しやがった……!!

出雲:君が寝てる間に「絶対に自殺出来ない」という指令を送っておいたのさ。どうやら機械は正常のようだね……。

遠山:そ、そんな……くそっ、なんで、なんで死ねねぇんだよぉ!!うわぁぁっ!!!

出雲:フフフ、いい声で喚いてくれるねえ。では、名前でも聞いておくか。『名乗る』送信。(カタカタ、ピッ)

遠山:(ビリビリビリ)ぐあっ………!!
   ぐっ……畜生っ……と、遠山……くそっ、コウジ……う、うああああっ!!!

出雲:ほう、凄い精神力だな、まだ逆らえるとは。だが遠山君、次はいよいよ組織のことを吐いてもらうよ。

遠山:ハアハア、や、やめろ、やめろぉっ!!

出雲:『組織の情報を事細かに説明する』送し……。



(さーみなさん準備はいいですかー?(ハーイ)いきますかーげんk)



遠山:!?

出雲:あ、パソコンにメールが。

遠山:ハァハァ、ちょ、ちょっと待て!着信音ポンキッキっておかしくね!?世界観的にも状況的にも!

出雲:なんだなんだ、帝王様直々に設定してくださった着信音に文句か。

遠山:どんだけ帝王どーでもいいところに介入してくんだよ!!民間企業か!!

出雲:とりあえずメール読むから待ってろ。読み終わったら情報絞り出して人食いゴリラに食わせてやるから。

遠山:怖っ!!俺の末路怖っ!!

出雲:(ピッ)フムフム……ほうほう………。

遠山:怖いよー、ゴリラの餌はやだよー……せめて猫に埋まって死にたいよー………。(ガクガク)

出雲:フムフム………んっ、んっ!?ぎょっ、ぺぺ、んんんんんっ!!!??

遠山:……どうした、運動会のリレー選手に選ばれ浮かれた小2みたいな馬鹿面しやがって……。

出雲:い、いや、凄いんだって!ほら、ミヨちゃんっているじゃん!?

遠山:いや知りませんけども!?初対面の野郎のプライベートの人物知りませんけども!?

出雲:あれだよ!?先月の2日にやった、軍部科学者と痴女連盟とのコンパで知り合ったミヨちゃんだよ!?

遠山:本当に知らねえよ!!まず痴女連盟がわかんねぇよ!!

出雲:痴女連盟知らない?密室で全裸に調味料を塗りたくって親に電話することを主な活動とする。

遠山:独特な痴女だな!!痴女の中でもだいぶマイノリティな痴女だな!!

出雲:ちなみに痴女連盟は全員同じ職場だそうです。

遠山:気持ち悪い職場だなオイ!!そんで、その痴女が何なんだよ!!

出雲:その中で一番タイプだったミヨちゃんからデートのお誘いが来たんだよ!
   「今度塗りたくりやすいラー油を買いに行くから一緒に行かない?」って!

遠山:それはデートなのか!?性癖が特殊過ぎてわからない!!

出雲:へへ、遂に俺にもロマンスが舞い降りたぜペコレコヘコレコティコ!!

遠山:その笑い方やめろ不愉快!!てか、シリアスぶったぎって色恋に夢中になってんじゃねぇよ!!

出雲:大丈夫大丈夫。あとで君はちゃんと人食いアリクイに食べさせるから。

遠山:さっきと変わってる!!人食うならアリクイじゃなくね!?

出雲:さぁどうしよっかなー……告っちゃう!?もう返信で告っちゃっていいかな八百山くん!!

遠山:遠山だよ!!知ったこっちゃねぇよ、初対面のヤツの恋愛事情ほど知ったこっちゃねぇもんはねぇよ!!

出雲:よーし、告っちゃうぞー!!そして付き合って、彼女のクローンを2万体作ってはべらすぞー!!

遠山:愛情がキショいわ!!ここぞとばかりにマッドを見せるな!

出雲:えーっと……返信メール作成っと………。
   『ミヨちゃん大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き』(カタカタカタカタ)

遠山: 怖 い 怖 い 怖 い 怖 い 怖 い ! ! !
   愛の表現が怖すぎるよ!都市伝説になる領域だよ!!

出雲:『大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好きだいすけ大好き大好き大好き』(カタカタカタカタ)

遠山:ちょっとタイプミスした!!知らんだいすけが顔を出した!!

出雲:よーし……こんだけやれば付き合えるだろ!そしてゆくゆくはケチャップで染まったバージンロードを歩くのだ!(ホクホク)

遠山:うわぁ……こんなにも間近で恋の終わりを目の当たりにするとはな……。

出雲:よっしゃ、ミヨちゃんに届けこのパトス、送信!ずびゅぅぅぅん!!(ポチっ)

遠山:…………っ!!?(ビリビリビリ)
   ぐおぅ!がっ、ぬふぁんっ!!あぁおっ、にゃにゃにゃにゃにゃっ!?

出雲:……?どうした、運動会のリレー選手に選ばれ浮かれた小2みたいな馬鹿面して……。

遠山:それさっき俺がした表現じゃねえか!パクるな!
   いや、なんか知らんけど洗脳電波来たんだけど!?にゃにゃにゃにゃって言っちゃったんだけど!?

出雲:あ、やべ。メール欄と洗脳命令欄間違えて入力しちった。テヘペロン。

遠山:テヘペロンじゃねぇよ!!おかげで顔も知らんミヨちゃんのことを大好きになっちゃったじゃねぇか!!
      ついでにだいすけのこともちょっと好きになっちゃったじゃねぇか!!誰だか知らんけど!!

出雲:な、なんだとぉ!?ふざけるな、お前ミヨちゃんの何なんだよ!!

遠山:何でもねぇよ!!何でもねぇけど好きっていう非常にややこしい立ち位置だよ!!

出雲:ハッ、そういえばミヨちゃんが言っていた……職場にマスタード塗り合いたい同僚がいると……お前か!?

遠山:違うわ!反乱軍にそんなキショい性癖の戦士いねぇわ!!

出雲:キショいって……ミヨちゃんの性癖をキショいって思うなら、何でミヨちゃんのこと好きなんだよ!!

遠山:テメェの仕業だろうが!!テメェのエンターキーが全ての引鉄だろうが!!

出雲:大体よぉ、お前ミヨちゃんのことどれくらい好きなんだよ!?

遠山:強いて言うなら大好き22個分くらいかな!?ちなみにだいすけのことは3個分好きだよ!

出雲:ハッ、勝ったな!俺は大好き23個分くらい大好きだ!

遠山:ギリギリじゃねえか!てか、そんなに嫌なら洗脳し直せよ!!
   大好き度競うより俺のミヨちゃんへの思い書き換えた方が早いだろ!!

出雲:あ、そうか!あったまいいー!お礼にメスの人食いアリクイに食べさせてあげる!

遠山:何のお礼にもなってねぇよ!俺の末路は変わってねぇよ!

出雲:えーと、『ミヨちゃんへの認識がドブネズミと同レベルになる』送信!(ピッ)

遠山:ちょっ、極端すぎゃぁぁぁっ!!(ビリビリビリ)

出雲:どうだ、もうミヨちゃんを好きじゃなくなっただろ!!ミヨちゃんのことは俺が一番愛してるんだぜ!!

遠山:………。

出雲:……どうした、運動会が、えーっと、小2、えー……………みたいな顔して……。

遠山:………キモッ!!

出雲:ええっ!?

遠山:ちょ、お前何ドブネズミを好きとか言ってんの!?何ドブネズミ恋愛対象に見てんの!?不潔!!不快!!

出雲:バ、バカにするなぁ!ミヨちゃんはドブネズミなんかじゃない、最低でも下水道のアイドル的なドブネズミだ!!

遠山:ドブネズミを完全には否定しねえのかよ!ひくわ!

出雲:うっせえバーカ!そんなん言うなら、3個分でも男が好きなお前の方がキモいわ!!

遠山:だいすけバカにすんじゃねえよぶっ潰すぞ!!
   てかなんでミヨちゃんをドブネズミレベルにしちゃったの!?そのせいでこんなことになってんだよ!?

出雲:だって、カマキリレベルとかならお前普通に恋愛対象として見そうじゃん。

遠山:お前に俺がどう見えてんだよ!もうめんどくさいよ、俺の中のドブネズミヨのイメージ可愛くしろよ!

出雲:可愛くしたらお前ミヨちゃんのことまた好きになっちゃうだろうが!!

遠山:そこはお前がちょうどよく調節しろよ!お前の手腕次第だよ!!
   いいから早くやれやド変態!いやドブ変態!ダスキンに流されろ!!

出雲:うるせえ!『ミヨちゃんのイメージが可愛いドブネズミになる』送信!(ピッ)

遠山:意味なぁぁぁぁっ!!(ビリビリビリ)

出雲:どうだ、俺のことを理解したか!?

遠山:出来るか!!未だに俺の中でお前はドブネズミ愛の変態だよ!
   ちょっと目がパッチリしたドブネズミ愛だよ!!

出雲:じゃあどうすりゃいいんだよ!あれか!?ミニーマウスにするか!?

遠山:お前は結局ミヨちゃんをどう見られたいんだよ!ネズミから離せねえのかよ!

出雲:じゃあどうすればお前は俺の恋を応援してくれるんだよ!!

遠山:目標ダイナミックにズレたな!?反乱軍の情報どこ行っちゃったんだよ!!
  じゃああれだ、『ミヨちゃんのことはそれなりに大好きに思う』とでも入れとけ!
   そうすればそれなりにミヨの可愛さを理解出来るぞ!?誰だかはわからんけど!!

出雲:おー、天才!お礼に人食いピグミーマーモセットの餌にしてあげる!!

遠山:もう何が何やら!人食わないピグミーマーモセットもピンとこねぇし!!

出雲:えっと、『ミヨちゃんのことははそれなりにだいすけに思う』送信!(ピッ)

遠山:待てまたタイプミスぁぁぁんぬ!!!(ビリビリビリ)

出雲:どうだ、俺のことを見直したか!?どうなんだせがれ!!

遠山:………いや、見直したっつーか……親近感が湧いたっつーか……。

出雲:……えー……何それー………マジガチ意味わかんないんですけどー……。

遠山:いや、俺の中で、ミヨちゃんはそれなりにだいすけ的な感じの女の子になったっていう……。

出雲:……だいすけ的なミヨちゃんってなんだよ!ボーイッシュってこと!?

遠山:いや、わかんねえよ!俺ミヨもだいすけも顔知らねえもん!
   ただ、ちょっとお前がミヨを好きになる気持ちも分かった的な!?
   いや、俺はそっち系じゃないんよ!?そっち系じゃないけど、うん!

出雲:何それ!俺の愛するミヨちゃんをどこの誰かもわからない男と一緒にするなや!

遠山:俺だってだいすけがどこの誰かわかんねえよ!てか存在するかもわからねえよ!

出雲:とにかく撤回しろや、このクソ八百屋が!異常気象の煽りを受けろ!

遠山:俺八百屋じゃねぇよ!久々に言うが八百屋じゃねぇよ!!
   つーか、写真はねえのかミヨの写真は!顔見た方が早いだろ!!

出雲:ミヨちゃんの顔見たらお前ミヨちゃんという名の空に魅せられた鳥籠のインコになっちゃうだろ!!

遠山:何その急に詩的な表現!!お前理系じゃなかったのかよ!!いいから見せろや!

出雲:わかったよ見ろよ!!ほら、ミヨちゃんの画像パソコンの壁紙にしてあるから!ついでに部屋の壁紙にも!

遠山:お前の愛情表現は逐一気持ち悪いな!まぁ見るけど………ん……?

出雲:どうだ、ハム太郎とピカチュウを組み合わせたような可愛らしい顔立ちだろ!

遠山:お前ネズミ以外で例えらんねえのかよ……えっ、これがミヨちゃん………?

出雲:どうした、運動会みたいな馬鹿面して。

遠山:だいぶはしょったな……先月の2日……あっ、そういうこと……!?マジかよ……!!

出雲:………え、何!?お前ミヨちゃん知ってるの!?急展開!!

遠山:いや、知ってるっつーか……なんつーか……。

出雲:な、なんだよ、気になるよ!まさかアレか!?ミヨちゃんは魚屋の娘……!?
遠山:商店街周りの人間関係じゃねぇよ……これは言えねえわ、言わない方がお前のためだわ……うん……。

出雲:何それ!?超気になる!言ってよ、そうだ、俺にはカキカエールがある!!
   『言え』送信!(ポチ)

遠山:ぐおぉぇぅっ!!さっきから思ってたがこいつ科学力を私欲に使いすぎだろぉぉぉ!(ビリビリビリ)

出雲:言えよぉ、言えよぉ!!言わなきゃ人食いゾウに踏ませるぞぉぉぉっ!!

遠山:せめて食わせろぉぉぉ!!い、言わん、言わぁぁぁんっ!!!(ブチブチィィ)

出雲:な、気迫で拘束具が壊れた!?プロテイン軍曹でも壊せなかったのに!!

遠山:ここに来て新キャラ出すなや……よし、拘束が解けたらこっちのもんだ、逃げ……。

出雲:そうはさせるか!!だいすけへの思いを100倍に!!(ピッ)

遠山:ぎゃあぁぁぁぁぁ!!!なんだこの胸の高鳴りはぁぁぁぁぁっ!!(ビリビリビリ)

出雲:さぁさぁ、言わないとお前のだいすけに対する思いはどんどん膨れ上がるぞぉ!?
   しかもそれにつれだいすけのイメージはどんどん汚いおっさんになっていくぞぉ!?(カタカタカタカタ)

遠山:あああぁぁぁっ!!だいすけが穢れるぅぅぅ!!でも好きぃぃぃぃぃ!!!

出雲:ほらほらー、言わないとだいすけはどんどんと醜く太るぞぉ?
   ほら270キロ、280キロ、290キロ、ペコレコヘコレコティコ!!(カタカタカタカタ)

遠山:ちくしょう、こいつここにきて今までで一番科学者っぽいぃぃぃぃぃ!!!
   や、やめろ、だいすけが成人病になるぅ!わ、わかった、言うからぁぁぁ!!

出雲:よし、ならばだいすけのイメージを2グラムに減らしてやろう。送信。(ピッ)

遠山:おおぅ……東京ドームを埋め尽くさんとばかり太っただいすけが急に消しゴムサイズになった……可愛い……。

出雲:さぁ、早く言え!このホモ野郎めが!

遠山:反論出来なくなってしまったのが悔しいわ……ミヨはなぁ、俺らレジスタンスのリーダーなんだよ!!

出雲:……ええ!?嘘ぉ!?だってミヨちゃん、コンパの時に楽天の4番やってるって言ってたよ!?

遠山:凄い嘘ついたなウチのリーダー!!だとしたら楽天痴女連盟になっちゃうじゃねぇか!!
   あとリーダーの名前マイコだから!お前偽名使われてるから!

出雲:そ、そんなぁ……どうりでミヨちゃんって呼んでも少し首を傾げるはずだ……。

遠山:怪しめよ!てかショック受けてんのはこっちだよ!
   リーダーは先月2日は「敵軍の偵察に行く」っつってコンパ行ってんだぞ!?
   しかも俺ちょっとリーダーのこと好きだったんだぞ!?今はだいすけの方が好きだけど!

出雲:ハッ、まさかミヨちゃんの言ってた「マスタード塗り合いたい同僚」って……!!

遠山:うん、多分俺だわ!!だってウチのグループに男は俺しかいねぇもん!!

出雲:女だらけに男ひとりって……お前ギャルゲーの主人公かよ……。

遠山:数分前まで自分でもそう思ってたわ!!でも真相は全然違ったわ!!
   だって俺以外全員痴女連盟なんだもんな!!国の存亡を憂う裏で調味料塗りたくってたんだもんな!!
   てかウチのアジトに立入禁止の部屋あんだけど、まさかあそこで調味料塗ってたんか!!ショック!!

出雲:なんてこった……ミヨちゃんにとって俺は、ただのナツメグ的存在だったのか……!!

遠山:よくわかんない落ち込み方すんな!落ち込みたいのは確実に俺だ!!

出雲:ミヨちゃんとケチャップのバージンロードを歩くのはお前だったのか……。

遠山:歩かねえよ俺にその性癖は無いから!!俺の心はだいすけのものだから!!

出雲:ちくしょう、ちくしょう!!(ダッ)

遠山:ちょっと、どこ行くんだよ!!敵置いてくなよ!!

出雲:傷心旅行だよ!!とりあえず神社仏閣を回って心落ち着けるよ!

遠山:OLかお前!いや、俺はどうしたらいいの!?性癖をねじ曲げられた俺はどうしたらいいの!?

出雲:もう好きに帰れよ!足早に帰れ!
   そんでミヨちゃんに「お前なんか人食いナンプラーで溺れ死ね」って言っとけ!

遠山:捨て台詞が独特すぎるわ!いや、言っとけって言われても、お前の名前知らねえんだけど!!

出雲:俺の名前!?出雲ダイスケだよ!!(ダダダダダ)

遠山:………………。

   ………………好きぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!(ダダダダダ)


エントリーNO.14 メリースリー

「モジャンベリな邂逅」

キミ:…智子まだかしら。待ち合わせ時間から20分くらい経ってるわ。早く来ないとスーパーのタイムセール終わっちゃうわよ。…んー、よく寝てるわねー…。よーしよし…。

ケイ:…そーそー!!そしたらアケミがさー!!豆腐がおじいさんの股間にぐしゃーよ!!マジバクショー!!まじ借り暮らしのアリエンティストー!!!

キミ:………(うわ。なんかうるさそうなギャルが来た…。)

ケイ:アケミは何か面白ーんなことあったのーん?……えー!?おばあさんのブローチが60回転!?ぎゃはははー!!キリがいいー!!あと12回転で72回転だねー!!

キミ:………(会話が破たんしてるわ。もー…ちょっと注意しなきゃ。)……あの…。

ケイ:え?あー、ちょっと知らないおばさんに話しかけられんティーだからいったん切るわ。ばいばいきーんゆうがいしゃー。(ピッ)なんすかー?

キミ:ちょっと、静かにしてもらっていいですか…?赤ちゃんが起きちゃうんで…。

ケイ:えー?でもここ公園だしー。電車とかはマナーの違反ですけどー。マナーの違の反ですけどのー。のーのーのー。屋外なら別に好きにしゃべっててもいいっしょー?しょー?しょー?

キミ:(ギャルの中でも抜群にノリがうざい。)ここで人と待ち合わせしているんで、離れられないんです…。

ケイ:そうなのー?……(じー)

キミ:な、なんですか?

ケイ:赤ちゃん可愛いっすねー!!マブいってことのというんですかね?マッブマブですわー!!

キミ:…赤ちゃんにマブいとは言わないと思いますけどね。

ケイ:いないいな!!!!!!!!!!いばー。いないいな!!!!!!!!!!いばー。いないいな!!!!!!!!!!いばー。

キミ:ちょっと声張らないで!!起きちゃう!!

ケイ:すいませんぎりっ。ちーっす。

キミ:もう…。んで、なんで「いないいな」に精いっぱいの力入れたのよ。すげえ気持ち悪い。その切り方。

ケイ:あっはっはー。まあいいじゃなかろうかー?それにしても今日はいい天気っすね。

キミ:ま、まあそうですねー。

ケイ:見てくださいよーあの雲。老夫婦のひざが並んでるところに見える!!4つ!!4つしわしわの膝がー!!

キミ:何この個性的な感性のギャル。

ケイ:あー、形が崩れて左とん平の顔になっちゃったー。

キミ:どういう気流の流れでそのトランスフォームを。雲さんよ。

ケイ:ところで誰と待ち合わせっすかー?男っすかー?昼顔ってるんですか?昼顔ってるんでしょー!?

キミ:不倫主婦ではない!!普通に友達と待ち合わせしているだけです。

ケイ:そっすかー。てっきり吉瀬美智子ってるのかとー。

キミ:昼顔ってもないし、吉瀬美智子ってもないからね。ドラマを便利な動詞にしてるけども。




シン:……………………(ジー)





キミ:……(スタスタスタ)ちょっと、あなた。

シン:……はい。(ジー)

キミ:さっきから、私たちをずっと撮ってますよね。そのビデオカメラで。

シン:撮ってますよ。………続けてもらえませんか?(ジー)

キミ:え?何を?

シン:さっきの会話をですよ。続けて続けて。(ジー)

キミ:いやいや、困るんですけど。何してるんですか。

シン:…ビデオ投稿ですよ。

キミ:…はい?

シン:俺、一般の人が撮影したビデオを紹介する番組に投稿するのが趣味なんです。知ってます?夕焼けビデオ大賞っていう番組。
   今、いい映像を取れるシーンはないか探していたところなんです。

キミ:うん。結構有名な番組ですね。…で?

シン:見つけました。

キミ:やめてくださいマジでやめてください。あの会話を全国ネットに載せる気ですか。

シン:載せる気です。

キミ:その気を鎮めてください。

シン:鎮めません。

キミ:なっかなかタチの悪いカメラマンですねぇ!!やめてくださいって!!怒りますよ!!

シン:怒ってください。撮りますから。

キミ:こいつ全部をチャンスにする気だな!!あの、本当に迷惑ですから。私もですし、あの子も。

ケイ:あれー?なんの話をしてんですかー?あなた誰ー?カバチタレー。監修青木雄二!!監修青木雄二!!

シン:…こんなキャラ効いてるの逃せると思いますか?

キミ:キャラ効いてるのは否定できません。ギャルの奇行種です。でも、この子だって迷惑なはずですから。

ケイ:なんのことっすかー?

キミ:いや実は、この人があなたと私の殺気の会話を勝手に撮影して、ビデオ投稿の番組に送ろうとしてて…。

ケイ:え!?テレビに出れるんすか!?

シン:いいものが撮影できて、番組に選ばれれば出れますよ。

ケイ:いいじゃんいいじゃん!!私テレビに出たい!!あのカリスマと話したい!!ギャルのカリスマ、ノキシタユッキッキーと!!

キミ:は?

ケイ:ノキシタユッキッキーですよ!!ヘキサゴンに出てた!!

キミ:木下優樹菜のことかな。すでにユッキーナってシンプルなあだ名がある人をなぜそう呼べる。
   それに、これ一般のビデオを紹介する番組に贈るやつだから、有名人とは絡めないよ。

シン:大丈夫。ちゃんと笑いのロジックを完璧にはめ込んだ映像を撮れば、絶対に業関係者は目をつける。

キミ:あれそんな番組じゃないですよね。一般の人からのほっこり映像を楽しむコーナーですよね。

シン:そうですよ。だからこそ、ギンギンにとがった面白い映像を撮ったら……光るんだよ。俺は……光りたいんだよ。
   ビデオ投稿業界において……ギンッギンに……尖りたいんだよ。…なあ、パナソよ。

キミ:痛い痛い痛い。痛覚を刺激する。特にパナソニックにビデオカメラをパナソと呼ぶあたり。暴行レベルです。

ケイ:ねー、主婦さーん。いいじゃないっすかー。私たちあらゆるビジョンに写るんっすよー?

キミ:あらゆるビジョンに写ったら私困るのよ。恥ずかしいのよ。

ケイ:いいじゃないいじゃないいじゃないー。それでいいじゃないー。

キミ:よくないよくない。何鹿賀丈史の「Ja-nay」に乗せてきてんの。ポンキッキで流れてた。

ケイ:モジャンベリタトウイネ四六時中 わがままエンジェル そのままエンジェル。

キミ:なぜそのまま歌い続けようとするの。

ケイ:じゃないーじゃないーいいじゃないー それでーいいじゃない。

キミ:よくないんだってば。

ケイ:じゃない じゃない いいじゃない じゃない じゃない いいじゃない じゃない じゃない いいじゃない

キミ:間奏のつぶやきにまで突入しないでくれる!?そのままケツまで歌う気!?

シン:(ジー)

キミ:冷静に撮るな貴様!!

シン:さすがテンポいいですね。でも、普通にベンチに座ってしゃべってもらえると助かるんですけどね。今の状態だとガッチャンコしづらいんで。

キミ:編集の際の業界用語使ってくるな!!とんねるずとマッコイ斉藤ぐらいしか使わんわ!!

シン:そういうキレのいいツッコミは本番にとっておいてもらえますか?

キミ:なんだこいつ!!私たちを!!私たちのいた空間を!!現場として!!回そうとしてやがるっっっ!!!

ケイ:見ギャル 聞かギャル 言わないギャール 超ミニスカート 見せたギャール 転がるギャルには 苔むさず 地球はいつでも メリーゴーラウンド

キミ:まだ歌ってたよこの子は!!

ケイ:この歌詞最高っすね!!転がるギャルには苔むさずって当たり前だっつーの!!庭園の風流求めてんのかー!!ぎゃはは!!

キミ:鹿賀丈史はそんなつもりで歌ってない!!ちょ、ちょっとあなた。いったん私たちこの場から離れない?あなただって本当は嫌でしょ?

ケイ:えー?いやじゃないっしょ。楽しそうなものを撮るってことでしょ?それで私を撮ってくれるなら光栄っしょ。

キミ:あなたはそう思うのね。でも私は嫌なの。…ねえカメラマンさん。こうしてくれる?この子は撮られたがってるから、この子だけを撮るっていうのは。

シン:…ビデオをなめてもらっちゃ困ります。

キミ:…は?

シン:面白いものっていうのは、まず強烈なキャラクターがいて、そのキャラクターが十分にその性能を発揮する。
   そこで振り回されたりツッコミを入れて正したりする存在が必要なんです。それによって映像が締まるんです。
   コントや演劇の面白さは、そのような所が基礎となっていくんですよ。

キミ:…何の番組に送るんだっけ?

シン:夕焼けビデオ大賞。

キミ:畑違いだよね!!あれ、そういう完成された映像求められてないよね!!

シン:求められてないところを攻める。意外性を求める。そうじゃないと、米村英治(63)には勝てない。

キミ:誰だよ。シンプルに言うけど誰だよ。

シン:3か月連続で月刊賞を撮られてるんですよ。米村英治(63)にね。シンプルで、事実を伝えるような映像しか送っていないというのに。

キミ:番組がそういうニーズなんだよ。

シン:先月の月刊賞なんて幼稚園の運動会に突然イタチが現れた映像だぞ…!!面白みがない!!

キミ:程よく面白そうだよ。見たいよ。ちょっと女心くすぐるよ。

シン:あの米村英治(63)に勝たなければ、俺のこの先に未来はない…!!あの墨田区に住んでる、独身の米村英治(63)に…!!

キミ:米村英治さんの情報小出しにしていくのやめなさい。

シン:ツッコミはとっておけって言っただろ、新人。

キミ:アンタが突っ込まざるを得ない振る舞いしてるからでしょうが!!んで誰が新人じゃ!!

シン:お前、ツッコミし続けるとボキャブラリー不足でキレが落ちるタイプだろ。それで後半ダレさせるんだよ。こういうの厄介。

キミ:パナソを粉末にしてやろうか貴様!!

シン:とにかく、あなたはこのギャルの子が話すことに返していってください。今度はもっと間を大切に。テンポが崩れると不自然になるから。
   ギャルの子は、いきなり突拍子もないことを言いつつも、たまに振りを効かせて、途中で「ん?」と思わせつつ、最後落とす。この手法も使っていこう。
   さー締まっていこう。

キミ:もうがっつり演出入れてるよね!!三谷幸喜に送れやこんなんは!!

ケイ:まーまー。主婦さん、ちょっとお話ししましょうよー。ベンチに座って座ってー。

キミ:撮影空間を受け入れつつ、私を誘おうとしてる!!…うう、帰りたい……。(すわり)

ケイ:主婦さんはー、生活してて「ここは薄皮クリームパンがベストだな」って思うことってありますかー?

キミ:あんまりそんな状況ないよ!?自分で食べたいパンは何かなって考えるときくらいだよ。

ケイ:そーっすかー。実は私ー、おいしいパンを売ってるお店知っているんすよー。超ゲキウマですよ!!むしろ馬のほうがゲキゲキしちゃう!!

キミ:最後しっかりと意味わかんないけど、おいしいパンの店なら行ってみたいわねー。なんていう店なの?

ケイ:えーっと……ゲホン、ゲホン。

キミ:…ん?

ケイ:ゲホッ!!ゲホン!!ゴホン!!ゴホン!!ゲフン!!ゴフッ!!ウウ、ゴホゴホゴホッ!!!

キミ:ちょ、ちょっと、どうしたの!?大丈夫!?

ケイ:っていう店っす。

キミ:いや店の名前かよっ!!普通に心配したわ!!

シン:……………………(ジーニヤニヤニヤニヤニヤ)

キミ:撮りながら「狙い通りの演出が決まった」みたいな顔してんじゃねえええええ!!!言っとくけど、珍しい手法でもねえからな!?

シン:ちょっと、流れ止めるな新人。ここから2時間な。いいところだけをチョイスして5分に編集するけど。

キミ:人のスケジュール食い荒らしてんじゃねえええええ!!!あたしゃ待ち合わせてんだよおおおお!!!智子はまだかああああああああ!!!

シン:それとギャル。お前は笑いをよくわかっている。

ケイ:あざーっず!!太ももに痣ーっす!!

キミ:たぶんわかってないからねこの子!?もーやだ!!帰る!!タイムセール諦める!!帰って青竹を踏む!!

シン:青竹を踏み続ける人生、か…。

キミ:そこに人生の重点置いてるわけじゃねえわあああああああ!!!もう言っちゃう!!こいつただただムカつく!!結論として、ムカつく!!!

ケイ:主婦さん、そんなに怒っちゃダメっすよ。ほら、赤ちゃんが…。

キミ:え…あ!!ご、ごめんねー。起こしちゃったわねー。あーしまった…。泣き出しちゃった…。

シン:撮れ高のない要素は勘弁してもらえませんかね。

キミ:コロシタイヨー。

ケイ:その冷徹な顔と口調はダメですって主婦さん!!子供怖がっちゃうでしょー。ちょっと抱かせてくださいっす。

キミ:え…?

ケイ:よーしよしよし。なかないでー…。ギャルちゃんでしゅよー…。あぶぶあぶぶー。あぶそるーとー。

キミ:…あ、泣き止んだ。

ケイ:えへへ。笑ってる。かわいいっすねー、赤ちゃん。

シン:……………。

ケイ:はい、ママのところに戻りましょうねー。っと。……………あ、ちょっと待ちゃりんこですたい。

キミ:え。今度は何?後どこ出身?





ケイ:……………。…………。…………………。




ケイ:お待たせっす!!

キミ:な、何をしてたの?

ケイ:そこでおばあちゃんが困ってたから、何かと思って。近くのコンビニまでの道を聞かれたから教えてあげたんっすよー。

キミ:…へえ。あなたって、優しいのね。

ケイ:えへへ。テレるっすよ。

シン:…………ブレる。

ケイ:…え?

シン:困るよ。もっと、シュールで人間離れしたことをしてもらわないと。そんな普通に優しいところを見せたらキャラがブレる。

ケイ:シュールってなんすか…?

シン:あなたは特異なるギャルなんですから、特異なるギャルらしくしてもらわないと困るんです。シュールなギャグが普通人を助けますか?うん、助けませんね。

キミ:なんだこいつの偏見。

ケイ:そんなこと言ったって、私は普通のギャルっすよ…。

シン:普通の人間にあんな特殊なことが言えますか?あなたたち、おじいさんの股間に豆腐を突っ込んでるんでしょ?おばあさんのブローチ回転させて笑ってるんでしょ?

ケイ:し、してないしてない!!あれは友達とドラマの話をしてたの!!「歌え!ジジババ合唱団」の面白いシーンであって…。

キミ:そのドラマやってるチャンネル教えて。絶対見るから。

シン:金融会社の売買をしてるんでしょ?

ケイ:はい!?

キミ:ばいばいきーんゆうがいしゃー、ってやつ?

ケイ:あ、あれは友達の間でのただのあいさつみたいなもんですよ!

シン:…なんだ、ただ変わってるだけかよ…。

ケイ:……………。

シン:じゃあ、電車の中で平気でマナー違反はしてるんですよね?そういう反骨の精神をお持ちですよね?

ケイ:も、持ってないっす!!私、電車で静かにしないのはマナー違反だって言いました!!

シン:…なんだよ。ただの普通の子かよ…。

ケイ:…………………。

キミ:そ、そんな泣きそうにならなくてもいいのよ!?おい貴様、この子に何を求めさせてるんじゃ!!

シン:だっておかしいでしょ。そんなに変わってるギャルならお年寄り嫌いなはずでしょ。

キミ:ド偏見だよ!!変わってるからってお年寄り嫌いなわけじゃないの!!

シン:ばいばいきーんゆうがいしゃーってシュールで面白いけど、何回も使ってれば大衆は飽きるからね。
   本当にあなたが変わっているギャルならば、「私はあらゆる金融会社をぶっ潰しますちーっす」。こう言ってほしい。

キミ:漫画ゴラクにも出てこねえよそんな女!!

シン:ギャルと電車のマナーは無縁だと聞いています。

キミ:お前全国のギャルにかったい化粧ポーチでしばかれろ!!

シン:電車の中では「私、うるさいでーす!!!」と叫んでほしいし、ヒール履いて「カッ!!!カッ!!!カッ!!!」て歩いて欲しい。

キミ:もうギャルとかじゃねえ!!ただの迷惑女だ!!

シン:そしてショムニの江角マキコみたいに、「さあ、迷惑かけるよー(髪の毛さらり)」みたいな。

キミ:江角マキコまで巻き込むな!!あの人はマナーもきっちりしております!!

ケイ:……………私、もうギャルの自信ない…………。

キミ:失わないで!!こんなことでギャルの自信失ったらあのゴミカメラマンの思うつぼよ!!

ケイ:だって…自分のナチュラルだと思ってた発言を、軽蔑された………。

キミ:ナチュラルを軽蔑される覚えはないもんね!!あいつうざいわねー!!うざいわねー!!

ケイ:……初めまして。主婦さん。私、大里圭といいます……。

キミ:いやいや丁寧に自己紹介をし始めないで!!センスを投げ捨てないで!!

ケイ:……私、普通に、イチゴが、大好きですうええええええええええええん………。

キミ:いいのいいの!!イチゴが大好きなのも立派な個性よ!!

シン:腐ったドラゴンフルーツが好きって言えよ。

キミ:腐ってるのはお前のドラゴンだろ。

ケイ:わ、私は、どうすればいいの…。私、さっきなんて言ってたの…。

キミ:えーと…。雲が老夫婦のひざのしわに見えて、その後左とん平の顔になっちゃったって…。

ケイ:……………見えないよおおおおお…………変わった形に見えないよおおおおおお………あ、栗だ!!栗に見える!!ほら!!

キミ:あ、本当だ!!いい形の栗に見えるわねー!!

シン:弱い。

ケイ:うえええええええええええええええん!!!!!

キミ:あーはいはい、この気持ちが殺意ね。

シン:さっきみたいにもっと強烈なこと言えよ。はい、「金融会社をつぶします!!!」

ケイ:き、金融会社をつぶします!!!

キミ:言わなくていい!!言わなくていいから!!

ケイ:わ、私はいつもの自分を取り戻したいのー!!

シン:「満員電車でかかと落とし!!!」はい。

ケイ:満員電車でかかと落とし!!!

シン:「雲さんよ、諭吉を振らせろや!!!」はい。

ケイ:雲さんよ、諭吉を振らせろや!!!

シン:「鹿賀丈史、誰やねん!!!」はい。

ケイ:鹿賀丈史、誰やねん!!!

キミ:やめんかいコラァァァァァァァァァァ!!!!!

ケイ:……!!

シン:「やめません!!!」はい。

キミ:殴ります!!!(ボカッ)

シン:いたっ!…暴力に訴えますか、演出者に向かって。

キミ:もうこうしてでも止めるよ。あなたね、自然じゃない、演出に凝り固まったビデオを撮影するのは別にいいわよ。でも、それをできない人に強要して何が楽しいの。

シン:楽しいですけどね。

キミ:ああいう番組はね、自然体のビデオを求めているの。楽しい映像や珍しい映像を自然に撮影して、それが面白いと思われて何ぼなのよ。

シン:そればっかりじゃないですけどね。

キミ:あなたのように不自然にしたって番組スタッフは選ばないわよ。自然体でないと、見る人の心を打たないのよ。

シン:今回はスタッフに金積むつもりですけどね。

キミ:こいつ根っこが腐ってやがる!!説得も一切効きやしねぇ!!

ケイ:…主婦さん、どこー…?私、普通すぎて前が見えない…。

キミ:ここ、ここ!!大丈夫!!普通すぎて目が見えなくなるのは異常!!

ケイ:…ねえ……その赤ちゃんにボディスラムをすれば、私元のギャルに戻れる……?

キミ:戻れない戻れない!!私があなたを訴えるだけ!!それはやだ!!

ケイ:……ちょっとさっきのおばあちゃんを探して、ボツワナへの行き方を教えてきます……。

キミ:ダメダメ!!おばあちゃん死んじゃう!!もしくは空港で迷っちゃう!!

シン:どんどん行動してねー。生ぬるかったらカットするからー。

キミ:お前の陰毛カットしたろか。




(♪いいじゃないいじゃないいじゃない それでいいじゃない)




キミ:…ん?なんで急にこの歌が…。

ケイ:あ、私のケータイです……。…なんで、私この歌を着メロにしてるの…?

キミ:あなたが素敵な感性を持っているから!!そうなのよ!!

ケイ:…!!アケミだ!!ど、どうしよう…ただの女になった私の声を聞いたら幻滅する…。

シン:友情破滅の瞬間か…。これを撮るのは自然ですよね?さすが俺、光ってる。

キミ:自分のポコチン破滅の瞬間でも撮ってろ。……大丈夫だからね。友達を信じて。

ケイ:…………(ピッ)……もしもし?……あのね、もし私がね、おかしなこと言えなくなっても…ギャルっぽいことも言えなくなっても……友達でいてくれる?

キミ:………。

ケイ:………ホント!?ありがとう!うん!ずっと友達だよ!!今度一緒にジジババ合唱団見ようね!!じゃあね!!(ぴっ)……そんなこと気にしないでって言われました…!

キミ:ほーら。あなたは自然体よ。さっきのあなたも今のあなたも自然体。そうやっていればどんなあなたでもみんな好きよ。

ケイ:は、はい!!…主婦さん、いや、ねえさん!!いや、姉御!!いやいや、アーネスモーキー石井!!!

キミ:ちょっと元に戻っちゃってるよ。

ケイ:はっ!!

キミ:それも自然体。ギャルであろうがなかろうがあなたはいい子。いいじゃないいじゃないいじゃない、それでいいじゃない…ってね。

ケイ:……ねえさん…!!(うるうる)ありがとうございます!!あ、私、そろそろいくっすね!!家帰らないと!!

キミ:家帰って何をするの?

ケイ:…イチゴを、食べます!!!

キミ:…そう!

ケイ:………イチゴを、食べます!!!

キミ:………そう!!!





ケイ:私、イチゴを、たべるんですよーーーーですよーーーーですよーーーー(キラキラキラー)




キミ:練乳を忘れずにねーーーーにねーーーーにねーーーー(キラキラキラー)




ケイ:私、ごま油派なんですーーーーですーーーーですーーーー(キラキラキラー)




キミ:それもまた一興ーーーー興ーーーー興ーーーー(キラキラキラー)











キミ:……ふふふ、元気に帰っていったわね。

シン:………。

キミ:で、あなたはどうするの?私のキレが落ちそうなツッコミでも撮る?

シン:…悪いが俺は自分の光り輝く演出力を手放したくないんでね。その力を活かして別の撮影を行う。

キミ:ふーん。何を撮るの。

シン:………………よりインパクトを与えられる、禁断の手段をとる。先ほどあのギャルから得た、ヒントを元にな……………。

キミ:……え?

シン:やはりあのギャルは天性のものを持っていた。それを、利用させてもらう。あのギャルはこういっていた……。




   「昼顔ってるんですか?」とな。



   そう、俺の切り札は、ライバルの首を取りに行く禁術。












   米村英治(63)の奥さんの、昼顔だ――――――。
















キミ:独身だって言ってたじゃねえか。

シン:あ、そうだった、じゃあもうあんたの昼顔でいいや。はい、さっさと不倫不倫。

キミ:(赤ん坊抱きかかえハイキック)

シン:ぶべらっ。


エントリーNO.15 灯風

「卒業証書」

 

(教頭:卒業証書授与。3年D組、七島ナオ!)

ナオ:はい!





ゴウ:…卒業証書。七島ナオ殿。
   右の者は、本校の全過程を修了したことを証する。
   平成24年3月19日、校長、引尾ゴウ。……おめでとう。

ナオ:ありがとうございます!
   …よし、これで無事卒業、高校生活も今日終わり…………あれ?

ゴウ:どうしたのかね?

ナオ:いや……この卒業証書、白紙なんですけど……

ゴウ:……白紙だね。

ナオ:たぶんこれ間違いだと思うんで、正しい卒業証書を……

ゴウ:…ふ、ふふふ。あーっはっはっは!!

ナオ:……校長!?え、どうしたんですか急に!?

ゴウ:そう君の卒業証書は白紙さ。つまり君は……卒業、出来ないんだ。

ナオ:……卒業出来ない!?え、どういうことですか!?

ゴウ:白紙の卒業証書は、卒業出来ないという証だ。
   君には卒業出来ない相応の理由があるんだよ……思い当たる節はないかね?

ナオ:いや、そんな……だって、遅刻も欠席もしてないし、成績もそこそこ取ってたし……

ゴウ:分からないようだな…………じゃあ教えてあげよう。君が卒業出来ない理由は……







   運が悪かったからだ!!

ナオ:……は?

ゴウ:この卒業証書の束の中には、白紙の卒業証書が混じっていた。

ナオ:いやちょっと待って。

ゴウ:君はそれを偶然引いてしまった……運が悪かったからだ!!

ナオ:ホントに運なのかよ!?……いやちょっと待って、え!?どういうシステム!?

ゴウ:…我が校の伝統として、卒業証書に白紙を混ぜておいて、白紙を引き当ててしまった者は卒業できないというしきたりがあるんだ。
   ここぞというときに運が悪いと、社会人になってからも運が悪くて失敗するからな。たぶん。

ナオ:暴論すぎるだろ!!ダメだったときの代償が大きすぎるって!!

ゴウ:ちなみに、白紙は1枚しか入っていない。

ナオ:すげえ確率だな!?いやこれ、むしろ運いいんじゃね!?

ゴウ:なので次の人は君の卒業証書をもらい、以降一人ズレで他人の卒業証書をもらうことになる。

ナオ:そこは俺のを抜いて対応しろよ!!他人の卒業証書とかいらねえだろ!!

ゴウ:…というわけで、君にはもう一度高校生をやり直してもらう。

ナオ:いや待ってくださいよ!!こんな運だけで3年間を棒に振るとか……納得いかないですよ!!

ゴウ:…………まあそう言ってもな。私も鬼じゃあない。

ナオ:…本当ですか?

ゴウ:ああ。ここに筆とすずりがある。その白紙の卒業証書、貸してみなさい。

ナオ:は、はい!

ゴウ:(かきかき)そうは言ってもな、このしきたりも社会に出る前の経験として設けているだけだからな……

ナオ:ああよかった…

ゴウ:…ほら、出来たぞ。







   「は ず れ」だ。

ナオ:ふざけんなよ!!ふざけんなよ!!

ゴウ:はーっはっはっは!!甘いな!!そう簡単に卒業させるか!!

ナオ:くそう!!弄ばれた!!無駄に達筆なのが腹立つ!!

ゴウ:そう!校長はそれが見たいんだよ!!絶望と怒りに溢れたその表情がね!!

ナオ:…こいつ人間じゃねえ!!

ゴウ:はは、毎年これが見たいがために卒業式をやっていると言っても過言ではない!!
   それを証拠に、前の日は全然眠れない。

ナオ:遠足前の小学生かよ!!

ゴウ:白紙を貰った生徒のあのなんとも言えない表情!!ワクワクするに決まっているだろう!!
   だから卒業式が始まってからもそのドキドキ感を長く味わうため、敢えて白紙は最後の方に入れている。

ナオ:D組までしかないからD組不利じゃないか!!チクショウ!!

ゴウ:加えて感情の落差を出すため、D組の担任は毎年、生徒に対して厳しくも優しい高山先生にしている!!

ナオ:確かにめっちゃいい先生だった!!団結力のある良いクラスになってた!!…くそう、自分の快楽のために高山先生を利用するなんて!!

ゴウ:ふふふ…残念ですねぇ~!内申点も高かったのにねぇ~!

ナオ:なんなんだよー!!くそう、大学だってちゃんと受かったのに!これで成実ともまだ一緒にいられると思ったのに……

ゴウ:お?…成実さんというのは、君の彼女さんですか?

ナオ:え、まあそうですけど……

ゴウ:……いいこと聞いちゃいましたー!!

ナオ:しまった!!新たな餌を与えてしまった!!

ゴウ:なるほど、彼女さんですかぁ~!!君は高校生やり直し、彼女は大学生…………離れ離れですねぇ!!

ナオ:うるせえ!!キラキラした目をするな!!

ゴウ:君がすでに覚えている世界史の授業を受けている間に、彼女さんはまだ知らない世界で新たな男を……

ナオ:やめろおおおおおお!!…くそう、全部校長の思うツボなのかよ……

ゴウ:…そういうことだ。君にはもう一度、高校生をやり直してもらう。

ナオ:そんな……運が悪くて高校生やり直しだなんて、親が聞いたらなんて……

ゴウ:安心するがいい。君の両親には100万円あげた。

ナオ:買収されてる!!

ゴウ:もう君には逃げ道はない。さあ、もう一度高校生をやり直すのだ~!!







(三年後)

ナオ:やっとまた卒業式までこぎ着けた……おんなじことを繰り返すのがこんなに暇だと思わなかった……結局成実にもフラれたし……
   ……あと二十歳過ぎたのに高校生だからエロ本買えないの地味に辛い。

(教頭:卒業証書授与。3年D組、七島ナオ!)

ナオ:呼ばれた。はい!





ゴウ:卒業証書。七島ナオ殿。
   右の者は、本校の全過程を修了したことを証する。
   平成27年3月17日、校長、引尾ゴウ。……おめでとう。

ナオ:ありがとうござ…ああああああああああ!!

ゴウ:(にやり)

ナオ:…白紙ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!

ゴウ:はい残念ーもう一回高校生やり直してくださーい。

ナオ:いやもう三年は!もう三年はさすがに!!

ゴウ:そういうしきたりなので、仕方ないでしょう。

ナオ:何百分の一を二連続で引き当てるとか!!もはや奇跡だろこんなん!!

ゴウ:はっはははは!!いいねぇその表情!!さすが二連続は違うねぇ~!!

ナオ:あああああうるせえ!!

ゴウ:さすがだねえ!!濃い表情してるねぇ~!!(パシャパシャ)

ナオ:写真を撮るな!!あと濃い表情って何だよ!!

ゴウ:いやぁいい表情が撮れましたぁ~、卒業文集に載せてあげましょうかねぇ~!!
   卒 業 出 来 な い け ど ね ぇ !!

ナオ:やめろおおおおおお!!思い出のスナップ写真の中にこれが紛れるのは嫌だああああああ!!

ゴウ:はいはい白紙貸してー。「は ず れ」って書くから。

ナオ:チクショー!自分の立場を思い知らされるー!!

ゴウ:両親にもまた100万あげるからね。

ナオ:お金だけは増えていく!!

ゴウ:じゃ、また三年間高校生活頑張ってねぇ~!!







(さらに三年後)

ナオ:やっと三年経った……どんどん時間の流れが遅く感じるようになってる……
   あと女子高生エロいな!!エロい!!女子高生というブランドを客観的に見れる歳になってしまったからな……

(教頭:卒業証書授与。3年D組、七島ナオ!)

ナオ:よし……はい!





ゴウ:「は ず れ」。

ナオ:早いよおおおおおおおおお!!今までちゃんと読んでからだったじゃん!!

ゴウ:「は   ず   れ」。

ナオ:わかったよ!!…というか今更だけど、今までずっと何も書いてないのに卒業証書の文章読んでたのかよ!

ゴウ:おめでとう。

ナオ:おめでたくねえよ!!なんにも!!おめでたくねえよ!!

ゴウ:あれ~この表情も見慣れてきましたねぇ~!!もっと引き出しないんですかぁ?

ナオ:ねえよ!!お前のためにやってるんじゃねえんだよ!!

ゴウ:はいじゃあ「は ず れ」って書くから紙貸して。

ナオ:先に言っといてやっぱ書いてねえのかよ!!というか一回渡してわざわざ戻して「は ず れ」って書くシステムなんなんだよ!!

ゴウ:はいじゃあ両親にもお金あげるからね。三連続達成ボーナスで300万。

ナオ:ボーナスとかあんのかよ!!

ゴウ:じゃあ三年後~ You'll be back!!

ナオ:うるせえ!!







(さらに三年後)

ナオ:“大人の余裕”とか言われて女子高生からめっちゃモテた。四又とかしちゃった。
   なんだこれ。27になってからの突然のモテ期なんなん。そしてやっぱり女子高生エロい。

(教頭:卒業証書授与。)

ナオ:おっ来た……

(教頭:……ですが、今年はインクや墨汁が7万倍に値上がりした影響で卒業証書が作れなかったのでみんな白紙です)

ゴウ:そういうわけで全員高校生やり直しでーす。

ナオ:…えええええええ!?なにそれ!?

ゴウ:だって卒業証書白紙だから。白紙ならやり直しだよね~。

ナオ:なぜそこまでして「白紙=高校生やり直し」にこだわる!!全員卒業できないとか!!そこはなんか対処しろよ!?

ゴウ:いやー、みんな運が悪かったね。

ナオ:もう運とかいう問題じゃないし!…というか日本経済のせいだ!!なんだよ7万倍の値上げって!!

ゴウ:はーっはっはっはは!!いやぁいいねぇ~、皆がみんな絶望の表情!!壮観ですねぇ!!
   あ、でもこんだけいると一人一人は薄いかなぁ~?

ナオ:なんなんだよもう!!絶望の表情を濃い薄いで判定するな!!

ゴウ:そういうわけで今から「は ず れ」って書くから、また紙こっちに戻してねー。

ナオ:やっぱ今から書くのかよ!!めんどくせえな!!…というか墨汁値上がりしてたんじゃなかったの!?

ゴウ:はいじゃあ全員の両親に100万ずつ。

ナオ:この学校の財政どうなってんだよ!!

ゴウ:そして君はこれで合計600万円獲得だね。

ナオ:獲得とか言うなよ!
   …というかもうウチお金いらねえよー!!お母さん金もらうごとにめっちゃ高い骨董品買いやがるんだよー!!
   せめて学費に充てろよ!!家で見かけるたび悪夢を思い出しちゃうだろうがよー!!

ゴウ:じゃあねー。ちなみに君の最初の同級生だったみんなはだいぶ稼ぎ出してるよぉ。

ナオ:あー知りたくなかった!!







(さらに三年後)

ゴウ:「は ず れ」。

ナオ:くそおおおおおお!!







(さらに三年後)

ゴウ:「は ず れ」。

ナオ:ちくしょおおおおおお!!







(さらに三年後)

ゴウ:「は ず れ」。

ナオ:ちくしょおおおおおおおおおお!!…というか校長の任期長すぎだろ。







(さらに三年後)

インフルエンザのため卒業式欠席(欠席により自動的に高校生やり直し)







(さらに三年後)

ゴウ:「は ず れ」。

ナオ:元いた場所に戻ってきたという感覚!!







(さらに三年後)

ゴウ:「は ず れ」。

ナオ:やったあああああああ!!







(さらに三年後)

ゴウ:「は ず れ」。

ナオ:やったあああああああ!!







(さらに三年後)

ゴウ:「は ず れ」。

ナオ:やったああああああああああああ!!













(最初の卒業式から300年後)

ナオ:ふう……またしても最高のコンディションで卒業式を迎えられたな……
   不老不死の薬を手に入れて飲んだかいがあった……

ゴウ:ふぉっふぉっふぉ。やはり来たな。

ナオ:校長!!

ゴウ:ワシもこの時を迎えられて嬉しいぞ。3日おきに不老不死の薬を飲んだかいがあった……

ナオ:一回飲めば効くやつですけどねそれ。

ゴウ:…しかし七島くん。君に残念なお知らせがある。

ナオ:えっ……何ですか?

ゴウ:君も知っての通り、我が校にもついに少子化の波が来た。

ナオ:めっちゃ波遅いですね。200年経ってますけど。

ゴウ:そのせいで、今年の卒業生は君一人だ。

ナオ:確かにそうです。

ゴウ:つまり卒業証書は1枚。そして今まで、白紙はドキドキ感を味わうため、最後の方に入れてきた。

ナオ:……と、いうことは……。

ゴウ:そうだ。1枚目は君の正しい卒業証書だ。つまり、君は…………これで卒業だ。

ナオ:…卒業、ですか!?

ゴウ:ああ。
   …卒業証書。七島ナオ殿。
   右の者は、本校の全過程を修了したことを証する。
   死にたい13年3月20日、校長、引尾ゴウ。

ナオ:年号どうなっちゃったんだよ。

ゴウ:…おめでとう。ついに卒業だな。

ナオ:ありがとうございます……長かったようで、長い高校生活でした。

ゴウ:お疲れ様。今日は、家に帰ってゆっくり休むがいい。

ナオ:あ、いや、家は骨董品で溢れかえってて入れないので庭で寝ます。

ゴウ:そうか。

ナオ:じゃあ帰ります。……しかしいやあ、218歳にしてやっと卒業かー!嬉しいな!
   これだけ我慢したかいg……ウッ!!(バタリ)







ナオは心臓発作で死んだ。

不老不死の薬を飲んだはずでは…とお思いの方も多いだろう。

しかし彼の手に入れた不老不死の薬、その瓶に入っていた説明書にはこう書かれていたのに彼は気付かなかった。







「は ず れ」と。

















(ちなみに218歳までは素で生き延びた)


エントリーNO.16 ミッキーパンプキン

「女子高校生の日常~部活編~」

リカ:ねぇ、今日の放課後さ、たまにはお茶しない?

聡美:いいけど……たまには?

リカ:そっ。たまには

聡美:昨日までで2週間連続で行ってるじゃないのよ! どんだけお茶するのよ!

リカ:いいじゃない! 暇なんだから!

 咲:身体がカフェインに支配されそう……

リカ:うるさいわね! 咲なんて週に5回しか付き合ってくれないじゃないの!

 咲:それだけ付き合えば十分じゃ……

リカ:聡美を見習いなさいよ! 彼氏の影もないし家に帰っても暇で暇でしょうがないのよ!? 毎日毎日私と喫茶店に行ってくれるのよ!?

聡美:うるさいわね!! フォローになってないのよ! 

リカ:大体放課後に週に2回も何をしてるのよ! ディスコ!?

聡美:古っ! アンタ本当に今時の女子高生なの!?

 咲:空き地にてふてふを捕まえに……

聡美:もっと古っ! てふてふって大正生まれじゃないんだから!

リカ:私の朝ごはんの味噌汁の具はとふとふでした

聡美:豆腐のことをとふとふって表現する子初めて見た!

リカ:さぁ、今日は3人で行きましょう!

聡美:でもさすがに喫茶店でお茶するのも飽きたわねぇ。話題もそろそろ尽きたし

リカ:それは否めないわね。昨日話した内容はなんだっけ?

 咲:……テリー伊藤の本名について

リカ:あぁ、そうだったわね。一昨日はなんだっけ?

 咲:……やくみつるを漢字で書くとどういう字かについて

聡美:なんで華の女子高生が放課後にワイドショーのコメンテーターのことばっかり話してるのかしら……

リカ:暇なんだからしょうがないわ! 今日のテーマは玉袋筋太郎と知恵袋賢太郎の共通点についてよ!

聡美:それ同一人物!

 咲:ちょっと待って……

リカ:どうしたの咲? 水道橋博士のことも話したいの?

 咲:違う……ウチ、もうあんまりお金ない……

聡美:……実はあたしもそんなに無いかも……だってさすがにこれだけ通っていたらねぇ……

リカ:もうしょうがないわね! 今日は私がおごってあげる! ついてきなさい!

聡美:きゃー! リカ太っ腹! リッチウーマンね!

リカ:任せなさいよ! 昨日おばあちゃんから小切手もらったのよ!

聡美:小切手!?

リカ:そうよ! この小切手さえあれば本屋さんで2000円分の買い物が出来るのよ!

聡美:それ、ただの図書券じゃん!! 喫茶店で使えないわよ!

リカ:え……使えないの……じゃあ、私今財布には15円しか入ってない……

聡美:よし、今日は喫茶店中止!

 咲:たまにはもう解散する……?

聡美:そうねぇ、たまにはそれもいいんじゃない?

リカ:……ねぇ、私たち部活動をはじめてみない?

聡美:いきなりどうしたの?

リカ:いや、このまま3人で放課後にダラダラお茶しながら帰るのも楽しいんだけどさ、何ていうか生活に新鮮さが欲しくてさ! 

   両親にも部活に入った方が良いって言われたしね

聡美:なるほどねぇ。確かに周りを見ても部活動をしていないのって私たちだけかも

 咲:ウチ……スポーツ苦手だし……

聡美:大丈夫よ。部活動は運動部だけじゃなくて、文化部もあるから

リカ:そうそう! ピンポンダッシュ部とかバックドロップ部とか!

聡美:それのどこが文化なの!? しかも完全に運動部っぽいし!

 咲:バックドロップ……悪くない……

聡美:意外に喰いついた!? それなら女子プロレス部とか入った方がいいよ! ないと思うけど!

リカ:そういえば小学生の頃に私の両親も夜中にプロレスを……

聡美:やめなさいやめなさい。文化部は色々あるわよ? 手芸部とか新聞部とか放送部とか!

 咲:確かにバックドロップは手でやる芸よね……

聡美:いい加減バックドロップから離れなさいよ!

リカ:新聞部ねぇ……私、新聞って苦手なのよねぇ

聡美:まぁ、アンタが活字を読むとは思えないしね……

リカ:だって新聞って苦いじゃん

聡美:味の問題かよ! 新聞に限らず大体の紙は美味しくないと思うよ!

 咲:そこでオリーブオイルを少々……

リカ:なるほど!

聡美:なるほどじゃない! 味変わんないから! ただ油分が追加されるだけだから! ていうか何で食べようと思ったの!

リカ:……聞きたい?

聡美:ごめん! やめとく! じゃ、じゃあ放送部に入ろうよ!

リカ:放送部ねぇ……放送ってことはカメラとかも使えるのかな?

聡美:そりゃあ使えるんじゃない? 学園祭の映像とか作るのって確か放送部だったし

リカ:じゃあ聡美の『イケナイ放課後~乱れた天使の真実~』という隠し撮りビデオなんかも出来るのかしら……(ゴクッ)

聡美:させないわよ!! なによそのサブタイトルは!!

 咲:すでに出来上がったものがこちらに……

聡美:あるの!? いつの間に撮ったの!?

 咲:間違ったわ。このビデオは猪木VSモハメドアリの一戦だったわ

聡美:どれだけプロレス好きなのよ! 大体、私放課後に乱れてなんかないからね! 

リカ:だって聡美この前、野良犬と餌を取り合ってなかった?

聡美:取り合ってないわよ! アタシがそんなにワイルドに見える!?

リカ:昨日、私の家の前の樹木でカブト虫と一緒に樹液を……

聡美:舐めてないよ!! アタシにだって人間のプライドがあるわ!

 咲:違うわよ……それはウチのお姉ちゃんよ

聡美:お姉ちゃん何してんの!?

 咲:お姉ちゃん、動物園で働いているから……まぁ、職業病みたいなものね

聡美:違うと思いますけど!? ちゃんと注意した方がいいって!

リカ:あっ、料理部なんてどう? 私たちにピッタリじゃない! 

聡美:いいけど……あんた料理なんて出来たっけ?

リカ:任せて! 昨日も家族の分の晩御飯を作ったのよ!

聡美:あら、意外な一面ね。ちなみに献立は?

リカ:ねるねるねるねよ

聡美:駄菓子じゃない!! 全然料理じゃないわよ!

 咲:ねるねるねるねをねるねるしたの……?

リカ:そうよ! ねるねるねるねをねるねるねるねるしたのよ

聡美:うるさい! 「ね」と「る」がゲシュタルト崩壊するわ!

リカ:お父さんもお母さんもとっても喜んでいたわよ!

   「明日から部活でもやりなさい。そして9時くらいに帰ってきなさい。それまでに晩御飯用意しておくから」って!

聡美:当然の結果だ! だから部活やりなさいって言われたのね! 

 咲:つまり、更にねるねるねるねの腕を磨いて来いという意味ね……

聡美:違うと思うよ! お父さんもお母さんもこのままだとやつれちゃうわよ!

リカ:確かに夜中のプロレスの後は二人ともやつれていたわ……

聡美:その話はもういいって! 後その話は両親の前ではしちゃダメだからね!

リカ:とにかく! 私はこの腕を料理部に生かしたいの! 皆で料理部に入りましょう!

聡美:それはもはや料理部ではなくて只のねるねるねる部よ!

   料理って言うくらいなんだからせめて包丁を持ちましょうよ!

リカ:ほ、ほう……ちょう?

聡美:何で急にバカになったのよ。包丁くらい分かるでしょうよ

 咲:ほら、この前リカちゃんが近所の子供相手に振り回していた奴よ…… 

リカ:あー、あれね

聡美:何やってんの!? 子供相手に何やってんの!?

リカ:だって糸こんにゃくを家に投げ込んでくるから……!

聡美:その子供たちも何やってるの!? アンタの近所の方がよっぽど乱れてるじゃない!

 咲:その光景を見て、文明開化ってこういう事かって思ったわ

聡美:違うよ!? 

リカ:文明開化、略して文化ね。そう、つまりは文化部!!

 咲:おぉ~

聡美:訳わからないわよ!! 糸こんにゃく投げてくる子供に包丁振り回す部活って何よ!?

 咲:なまはげ部……? 

聡美:秋田県に謝ってきなさい!

リカ:大体、偉そうなことを言ってるけどさ、聡美は料理なんて出来るわけ?

聡美:ぎくっ

 咲:……わかりやすい擬音ね

聡美:で、出来るわよ! こ、こう見えても毎日料理してるんですからね!

リカ:ほほぅ……じゃあ聡美の得意料理は何さ? 言ってごらん

聡美:み、み、味噌汁よ!

リカ:なるほどなるほど。じゃあ作り方を言ってごらんなさいよ?

聡美:うっ……ま、まず鍋に水を入れるじゃない?

リカ:はっはっは! ボロを出しおったな!!  

聡美:まだ間違ってなくない!? 

リカ:味噌汁に鍋なんか使わないわよ!

聡美:使うわよ!! 何言ってやがるんだ!

リカ:正しくはまずねるねるねるねの袋を開ける!

聡美:まずの時点でもう間違ってるわよ!

リカ:合ってるわよ! 味噌汁の具にねるねるねるねを使うんだから!

聡美:気持ち悪っ! そんなの味噌汁って呼ばないわよ!

 咲:……料理が出来る出来ないなんて関係ない……大切なのは心……

聡美:咲……その通りね。ゴメン、アタシ嘘をついていた……実は料理出来ないんだ……

リカ:……実は……私も…… 

聡美:それはとっくに分かってたけど……

 咲:仲直り出来て良かった……

リカ:……ねぇ、提案があるんだけど

聡美:なぁに?

リカ:部活に入るんじゃなくてさ、私たち3人で部活を作ればいいんじゃない?

聡美:……グッドアイディア!! そうよ! 入りたい部活が無ければ自分たちで作ればいいのよ!

 咲:バックドロップ部……?

聡美:一人でやってなさいよ! 

リカ:なまはげ部?

聡美:まともな発想力のある人間はここにはいないのか! 

リカ:じゃあどんな部活がいいのよ?

聡美:え~とね……何かを調べたり研究したりとか?

リカ:何かって何よ?

 咲:なまは……

聡美:うっせ!! ふぅ、ついに言わせなかったわ!

 咲:ぶー

リカ:で、何を調べるのよ?

聡美:え~……花とか草木とか? 

リカ:何それつまんなっ! 草木調べるくらいだったらブラジャーでヌンチャクごっこやっていた方がマシだわ!

聡美:それちょっと面白そう! でも部活には不適合!  

 咲:……ごめん。ちょっといいかな?

リカ:あら、なしたの?

 咲:……そろそろウチ行かなきゃ……

聡美:行くってどこに?

 咲:女子プロレス部の練習の時間だから……じゃあね

リカ:いや、実在してたんかーい!!

聡美:ていうか部活入っていたんかーい!! 


ジンガー

マグネッツ

スライドGARAS

サイクルハンマー

QQQ

加点・減点

平均点

総合順位

62

24

45

53

30

48

 

 

43.6

27位

・3人のくだらないやり取りは面白いのですが、後半に進むに連れて面白さが増していくということもなく、
全体通して波の無い感じになっちゃってるかなぁと。
キャラをもっと固めるとか(咲さんはプロレス関連のボケをもっとぶっこんだり)、ボケをもっと繰り返し発展させるとか、
後半に向かって形作っていく感じがあれば良かったかなと。(ジンガー)

・ブラジャーでヌンチャクごっこ別に面白そうじゃないだろ……。

ゆるい雰囲気とボケの方向性が合ってないのか、いまいちハマるボケが少なかったです。
話の本筋もさらっと流しちゃいそうな話でしたし。(これは狙ってる部分もあるのだとは思いますが)
導入部分のお茶しまくってるって話の方が印象に残ったので、少し特徴的な女子校生の日常にした方がネタとして展開もしやすいし、
面白くなるのではないかなと思いました。(マグネッツ)

・悪くはない、悪くはないんですけど。
ガッツリしたボケが多かったので、ちょっとローカロリーなボケも欲しかったというか。
全速力で走るのももちろんいいですが、ちょっと休憩ポイントもあればなあと思いました。(スライドGARAS)

・これもテンポ良くボケツッコミあるんですけど、女子高生三人が会話してるっていう設定がどうも魅力を感じず、全体的にパッとしない印象でした
三人いる必要もそんなに感じなかったかなあ(、)

・良いボケもありましたが、どうも全体的に間延びした日常会話になってしまったという印象で、トリオコント形式にする必然性が感じられませんでした。
これならばセリフを厳選した上で、別のサイトで2人組の漫才という形でやった方がいいのではないかと思ってしまいました。150行以上のコントという形式はやはり難しいですね。(サイクルハンマー)

・冒頭の女子高生らの日常の風景を描くかの様な出だしに対し、彼女らの素行やら日常味が全然垣間みれないそのギャップが不思議と面白かったです。
ただ、まだネタの掛け合いに正統派か変化球どちらで攻めようか迷いが生じている印象も受けたからか、本筋部分である王道に寄せたボケの見せ方に若干のあざとさが見え隠れしていた様に感じてしまいました。
なので、そういった上記のような面白さを前面に出した上でネタを書き進めてみても良いのかもしれません。個人的に最後のオチに対して2人で2段階のツッコミを入れるくだりが印象的でした。(QQQ)


エントリーNo.17 エクスプレス

「大切なことはすべて感嘆符疑問符が教えてくれた」

 

探偵:このペンションで起きた殺人事件・・・謎は・・・すべて解けました。






警部:!?

刑事:!?

被害者の恋人:!?

被害者の元交際相手:!?

ペンションのオーナー:!?

その妻:!?

宿泊客A:!?

Aの友人:!?

101号室の客:!?

102   〃 :!?

103   〃 :!?

201   〃 :!?

202   〃 :!?

203   〃 :!?



探偵:ちょ、ちょっとあのー・・・

警部:はい、どうしましたか探偵さん! 謎が解けたんですよね!?

探偵:いや、それはそうなんですけど・・・人がちょっと多すぎるなぁと思って・・・。

警部:人ですか?

探偵:みんないちいち驚かれると、尺を取っちゃうというか・・・

警部:尺ですか? 尺というのは・・・何のことですか?

探偵:いやその・・・行というか・・・行数をくっちゃうんじゃねぇかなっていう・・・

警部:行ですか? 行というのがよくわからないんですが・・・何か探偵さんに不都合でも?

探偵:いやそういうことではないんですけど・・・

警部:じゃあ気にせず続けましょう。 謎が解けたんですよね?

探偵:・・・続けますか。





探偵:・・・謎はすべて解けました。 犯人は・・・この中にいます!!




警部:!?

刑事:!?

被害者の恋人:!?

被害者の元交際相手:!?

ペンションのオーナー:!?

その妻:!?

照明:!?

音声:!?

カメラ:!?

P:!?

D:!?

犯人:!?

AD:!?

メイク:!?




探偵:だから多いよ! 尺考えてよ! しかもさっきと人変わってない!?

警部:そんなことよりこの中に犯人がいるっていうんですか!?

探偵:いやそれよりもだよ! 何!? 何か撮影してんのこれ!? 照明とか音声とか! あとADとか!

警部:あ、このペンションで明日から2時間ドラマの撮影があるらしくて・・・

探偵:ノンフィクションの現場にフィクションのクルー混ざってたの!? いやそれよりもさっき犯人混じってたよね!?
   見逃したけど犯人も驚いてたよね!? さりげなく紛れてなかった!?

警部:探偵さん落ち着いて下さい!

探偵:だっていちいちこんな驚かれたら尺が足りないよ!

警部:尺ってなんなんですか探偵さん! 何を気にしてるんですか!

探偵:いや何というか・・・長さ的に・・・なんと言ったらいいかわかんないけど・・・

警部:とにかく犯人はどうやって被害者を殺したんですか!?

探偵:あ、はい、犯人は・・・夕食にこっそり毒を入れていたんです。


警部:なんですっt・・・あっ、 !?

刑事:!?

犯人の母:!?

婦警:!?

ボーカル:!?

ドラム:!?

ギター:!?

ベース:!?

サックス:!?

エレキギター:!?

尺八:!?





探偵:だからいちいち人多いよね!? 毎回顔ぶれ違ってるしさぁ!
   今回はバンド? てかこれバンドか!? 尺八は何なの!? バンドのメンバーなの!?

警部:探偵さん落ち着いて下さい! 犯人が憎いのはわかります! 僕も憎いです! でも僕らが落ち着かないでどうするんですか!

探偵:犯人が憎いってだけで興奮してるんじゃないんだよ! つーか犯人の母いたよな今! どういうことだ! 参観日か!




警部:??

刑事:??

婦警:??

犯人:??



探偵:え、やめてよ・・・。 戸惑いもそのパターンでくるの・・・? 参観日とか言ってごめんよ・・・でもそんな寄ってたかって困惑しないでよ・・・

警部:参観日、というのは・・・?

探偵:こんだけ傷ついたところに直接その質問してこないでよ・・・ 「??」でもう俺が悪いのは実感したよ・・・

警部:探偵さん、そろそろ本題に戻りませんか

探偵:なんで急にそっちがしっかりするの・・・? そっちがリズム狂わしてんじゃん・・・
   じゃあ尺八の人はどういうポジションなのかだけ教えて・・・

警部:尺八の人はリーダーです。


探偵:!?








探偵:え、ここは違うの・・・? 何で誰も連携取ってくれないの・・・?

警部:どうかしましたか! 探偵さん、自分に自信を持ってください!

探偵:俺がタイミングおかしかったの・・・? さっき警部がちょっとミスして「!?」忘れかけた時もみんなカバーしてたじゃん・・・
   「なんですっt・・・あっ!」とか言ってたじゃん・・・。 一瞬やっちゃったって顔してたじゃん・・・




警部:探偵さん今日なにかおかしいですよ・・・。どうかしたんですか?

探偵:おかしいのはそっちじゃん・・・ 前回の事件ではそんな驚いてなかったじゃん・・・ 今日いきなりじゃん・・・
   驚く人が多すぎて尺がおかしくなってるんだって・・・。

警部:尺ですか? 尺八の人はリーダーです。

探偵:いや尺八はもうわかったよ・・・。 とにかく俺のリズムがおかしくなっちゃうからやめてほしい・・・

警部:リズムですか? リズムとりたいなら楽器がありますので、是非!

尺八:(演奏)

尺八:(演奏)

尺八:(演奏)

尺八:(演奏)

尺八:(演奏)

尺八:(演奏)

探偵:多いよ! 尺八多いよ! いつの間に増えたの!? 尺八はあくまでバンドメンバーじゃないの!? 編成が! 編成がおかしいよ!

警部:何がおかしいんですか!? この方達は尺八演奏家界では知らない人はいないほどの豪華な顔ぶれなんですよ!?

探偵:知らないよ! だって全員「尺八」ってなってるじゃん! そんなに豪華なら名前出してあげなさいよ!
   そんなに豪華な人達なんだったらやって当然でしょ、そのくらいのこと!







警部:!?

琴:(演奏)

琴:(演奏)

琴:(演奏)

琴:(演奏)


探偵:なになになになに!? 今度は何!?

警部:いや、だって「こと!」って言うから・・・

探偵:どこでスイッチ入ったんだよ! まずいつの間に琴が出てきたんだよ! そもそも、この事件というのは・・・

琴:(ソロ)

探偵:うるせぇよ! 何一人勝手に割り込んでんだよ! 俺しゃべってただろ! 最低限そこのルールは守れよ! いいか、犯人はだな・・・

警部:すいません、なんかもう忘れちゃったんで最初からもう1回しゃべってもらえます?

探偵:えぇーっ・・・あんたらが余計なリアクションばっかりするからじゃん・・・
   もういいです、最初から言います。 謎は・・・全て解けました。

警部:・・・あっ、すいませんもうちょっと待ってもらっていいですか? まだ準備ができてなくて・・・

探偵:えぇーっ・・・もう俺のタイミングで謎がすべて解けたって言わせてよ・・・ 準備とかそっちの都合じゃん・・・




新人:!?




警部:ちょ、おい、そこの新人! タイミング間違ってんじゃねぇよ! こういうのは全員の息合わせないとダメって研修で言っただろ!

探偵:うわー、ミスした新人にすげぇ怒ってんじゃん・・・ 研修で何をたたき込んでんだよ・・・
   なんか俺まで申し訳ない感じになるわ・・・。 新人くんもそんなに落ち込むようなことじゃないから、気にしないでね・・・

警部:お前のそういうミスのせいで探偵さんが怒っちゃったらどうすんだ! 余計な仕事増やさないでくれよ!

探偵:新人くんのせいで怒ってるんじゃないよ・・・。 むしろ余計な仕事増やしてるのは警部じゃん・・・。
   ものすごく自分を棚にあげちゃってるけど・・・。

警部:・・・よし、準備できました! 探偵さん、最初からお願いします!

探偵:・・・何回この台詞言わせんのよ・・・  この事件、謎は・・・全て解けました。




警部:!?

高倉健:!?

吉永小百合:!?




探偵:え!? え!? なんか急にそうそうたる顔ぶれになったけど!?

警部:ありがとうございます。高倉さん、吉永さん、今日は映画の告知に来ていただきまして本当にありがとうございました。

探偵:なんでここで告知したの!? 何の宣伝効果も無いよ!? だってここ事件現場だもん! マスコミ不在じゃん!

警部:警察関係者、そしてペンションの皆さん、犯人さん、被害者さん、是非映画館でご覧になってください。

探偵:宣伝する相手狭いよ! もっと全国とか世界に発信しないと! あと後半2人は多分映画館では見れないよ!

警部:映画「ラブ★アプリケーション」は9月20日全国ロードショーです。

探偵:名優同士の夢の共演がそんなポップな映画で良いのかな・・・ いや、そういえば事件は!? 映画も気になるけど事件は!?
   もうそろそろいいでしょ!? さっきから全然話が進んでないよ!?

警部:あ、事件ですか? まだちょっと次の準備が・・・

探偵:準備準備って! さっきから準備準備って! 何の準備なの!?

警部:もう、これはやっておかないとちょっと・・・

探偵:ちょっと何だよ!? 事件現場でこんなだらだらやってるなんて聞いたことないよ!
   やっぱりあれか、行か! 行の問題なんだろ!? 150に達するまでやり続けるんだろどうせ!

警部:行ってなんなんですか! 150という数字はどこから出てきたんですか!?

探偵:150だよ! 150行だよ! そんなに行が大事か! じゃあ俺が率先してやってやるよ!


探偵:!? !? !? !? !? どうだ、これでどうだ!


警部:・・・。

探偵:・・・あれ、行が動いてない!? なんで!? 一人が何回やっても一行としてカウントされるの!?

警部:・・・何を、やってるんですか?

探偵:なんでそんな冷めてんだよ! こっちが協力してやったのに!

警部:・・・事件を解決する気、ありますか?



探偵:!?



警部:・・・ふざけているのですか?

探偵:だめだ、もう僕にはどうすることもできない・・・。
   ・・・もういいです! この事件の真相、全部言います!



警部:!?

新人:!?

犯人:!?


探偵:もう触れないぞ! もうこのくだりには触れないからな!
   犯人は、被害者と金銭トラブルがあったということが考えられます・・・。


警部:!?

新人:!?

犯人:!?

アギーレ:(視察)


探偵:なんでここを視察してんの!? ここに日本代表なれそうな人なんて誰もいないよ! Jリーグの試合見に行きなさいよ!
   試合中に「!?」なんてやってたら失点しちゃうよ!
   ・・・っていかんいかん! いつの間にか惑わされてる!・・・犯人は、金銭をめぐって今日も口論になってしまったのでしょう。



警部:!?

新人:!?



探偵:・・・あれ、犯人がいない!? 犯人がアギーレ共々いなくなってる!? もしかして逃げられた!?

警部:!?

探偵:いやもうそれいいよ! いつの間にか犯人逃がしちゃったよ!! 
   どうすんの!? さりげなく犯人混ざってたから心のどこかで安心してた部分あったよ!?

警部:すいませんでした! 今から追いかけるので探偵さんはここに残ってひとりでしゃべってて下さい!

探偵:え!?



探偵:えー、昨日の夜、犯人と被害者は金銭トラブルの話し合いが口論に発展し、それで興奮した犯人が被害者を殴打し、
   そのまま殺害してしまったわけです。





・・・・・・。




探偵:いや、誰も驚いてくれないのもそれはそれで寂しい・・・ もうダメだ、今日は一旦帰ろうかな・・・。
   ・・・おつかれしたー。


被害者:!?


エントリーNO.18 あかつき

「LIVE and DIE」

 

姉(水戸):(喪服を纏い俯いたまま、椅子に座っている)

宇都宮:想い出多きご生涯。
    明るくて、優しくて、天真爛漫な女性であられた前橋なつき様。
    少女時代から注目を集める事が好きだった故人は、16歳の頃からアイドルとして活躍し、
    以降7年間、私達に元気と、夢と、希望を与えてくれました。
    数え切れない大切な宝物を残し、平成26年8月31日、
    故前橋なつき様は23年の人生に幕を下ろし、静かに永遠の眠りにつかれました…。

  姉:ぅ……。(ハンカチで涙を拭う)

宇都宮:うつし世に始めがあれば、終わりあり。会えば必ず、別れあり。
    季節の花が、時とともに静かに移ろい行くように、人生もまた、季節とともに過ぎてまいります。
    別れは、決して逃れることのできない宿命でありますが、
    今はただ、故人のご冥福をお祈りし、その安らかなることを、願うばかりでございます。

  姉:あぅ……うっ…………。(ハンカチで涙を拭う)

宇都宮:皆様、本日はご多忙中のところをご臨席いただきましてありがとうございます。
    只今より、故前橋なつき様の葬儀ならびに告別式を執り行います。

(会場が薄暗くなる)

  姉:ぅ…………。(ハンカチを右手で握り締める)










♪てってってー てってっててー↓
♪てってってー てってっててー↓

宇都宮:!?

♪てってってー てってっててー↑
♪てってってー てってっててー↓



なつき:はーるーかーな夢追いか~けて~♪(棺桶の中から颯爽と登場)

宇都宮:!?!?

なつき:きっと!

参列者:\きっと!/

なつき:もっと!

参列者:\もっと!/

なつき:ステキなアタシになる♪

参列者:\なっちゃん!/

宇都宮:!?!?!?!?!?

なつき:ひとつーずつ見つけて~いく~♪
    きっと!もっと!ずっと! 輝いてキミが…
    大好きだから♪

参列者:\オオオオオオオ/



宇都宮:(ぽっかーん)

なつき:みんな~! こーんばーんはー!!

参列者:\こーんばーんはー/

なつき:今の曲は、アタシのデビュー曲『パステル・コーリーハート』だよ。聞いてくれてありがとー!

参列者:\ワアアアアアア/





宇都宮:待ってお姉さん待って。

  姉:…なんでしょう?





宇都宮:私は今、どこにいるのでしょう。

  姉:どこでしょうねー。

宇都宮:たしか、葬儀の司会を頼まれたはずなんですが。

  姉:そうです、葬儀です。

宇都宮:こんなの葬儀じゃないわよ! なんなんのこれは!!
    私こんな賑やかな葬式見た事ないわ!

  姉:なんなのって聞かれましても……

宇都宮:あっ……そ、そうよね。貴女も状況を理解できな

  姉:実験通りとしか答えられませんよ?

宇都宮:貴女のせいか。





なつき:じゃー、いつものいくよ~!

参列者:\オオオオオオ/

なつき:銭形?

参列者:\とっつぁん!/

なつき:イカなら?

参列者:\よっちゃん!/

なつき:可愛いアタシは?

参列者:\前橋なっちゃん!!/

なつき:頼れるみんなに なつきたい! なっちゃんこと、前橋なつきでーす♪

参列者:\ワアアアア/ \なっちゃーん!/ \群馬の加護亜依/





宇都宮:告別式で何やってんだてめーら。葬式でサイリウムぶん回してんじゃねーぞコラ。

  姉:宇都宮さん落ち着いて下さい。言葉があらぶってますよ。

宇都宮:そりゃあらぶるわよ! だってこの罰当たりな参列者達がッ…!

  姉:妹の葬儀の邪魔をしないでもらえますか?

宇都宮:そうよそうよ、コイツら葬式だってのに盛り上が…………え? これ私が邪魔してる側なの!? 嘘でしょ!?

  姉:告別式だって色々な形式があるじゃないですか。

宇都宮:無いわよ! 告別式はいつだってしめやかに厳かに執り行われるものなの。

  姉:えー? おばあちゃんのお葬式もこんな感じでしたよ?

宇都宮:代々受け継がれてるスタイルなの!?
    棺桶からJ-POP歌うおばあちゃん出てきたらこっちの心臓が止まるわよ!

  姉:いえ、瀬川瑛子の『命くれない』でした。

宇都宮:曲はなんだっていいの!! むしろ本当に葬式でご本人歌ったっていう衝撃が大きいわよ!
    まったく…………貴方の家系はどうなってるのよ……。

  姉:普通の浄土真宗ですよー。

宇都宮:極楽浄土で親鸞に謝れ!!





なつき:みんな~元気~?

参列者:\げんきー/

なつき:いいな~! アタシはねー…………元気だけど死んでるよ~!!

参列者:\ゴシュウショウサマー/

なつき:だからね~ 今心臓全然動いてないんだ~!

参列者:\シンパイテイシー/

なつき:でもね~ 心臓は動いてないけどね~ 血は通ってないけどね~ みんなのおかげですっごく興奮してるよ~!

参列者:\ワアアアア/ \なっちゃーん!/ \群馬の菊池亜美/

なつき:ありがとー! それじゃ~ 今度は2曲続けて聞いて下さーい!
    まずは、『ラブラブ・バーランダー』!!





宇都宮:葬祭場が一転ライブ会場になったショックが強くて、肝心なこと忘れてたわ。

  姉:なんですか?

宇都宮:な ん で あ の 人 は 生 き 返 っ た の !?

  姉:最先端医療が起こした、奇跡です。

宇都宮:納得できないわ! 奇跡にも程度ってもんがあるのよ。
    どういう処置を施せば死人を生き返らせられるの?

  姉:まずは下ごしらえとして、体内の水分を全て抜きとって軽く塩で揉みます。

宇都宮:急に料理番組っぽくなった。

  姉:次にそれをみじんぎりにして、フライパンにバターを引いて炒めます。

宇都宮:原型がなくなってしまったわ!

  姉:中火で5分炒めたら、一旦火を止めて水を入れフタをして、弱火で30分煮込みます。
    そして、30分煮込んだものが、あちらの前橋なつきになります。

宇都宮:…………聞くだけ無駄だったわ。 理解する事を放棄するくらい、聞くだけ無駄だったわ。

  姉:そう。これは、最先端医療が起こした、奇跡です。

宇都宮:今の手順に最先端医療要素が感じられなかったんだけど。

  姉:……塩で揉むあたり?

宇都宮:疑問符つけてる段階でかなり怪しいわ。

  姉:…………とにかく、最先端医療が起こした、奇跡です。

宇都宮:貴方、それで押し切るつもりね?





なつき:新曲『私の彼氏はエンカーナシオン』 どうだった~!?

参列者:\ヨッカタアアアア/

宇都宮:なんなのよ。なんなのよこの告別式と思えぬ会場の一体感。そして死んだのに今更新曲って。

なつき:今日は~みんなに紹介したい人が来てま~す!
    なんと! アタシのお姉ちゃんでーす!



  姉:皆さん初めまして! なつきの姉の詩緒里ですー! 本日は妹のライブに来てくれてありがとうございます!

宇都宮:今ライブって言った! あのお姉さんやっぱり葬式の自覚なかった!
    いやもう、この葬儀をライブ感覚でしちゃう姉妹のノリにオバサンついていけないわ。

  姉:皆さん、今日はまっすぐ会場まで来れましたかー?

参列者:\コレタアアアア/

  姉:よかったー! 交差点とかに「前橋家はこちら→」って案内板がいっぱい出てましたもんね!

宇都宮:それ葬儀ならどこでも出すヤツ。

  姉:これだけたくさんのお客さんが集まってくれるなんて、喪主冥利に尽きます!

なつき:みんなありがとー!

参列者:\ワアアアア/ \なっちゃーん!/ \群馬の倖田來未とmisono/

宇都宮:誰よ。さっきから微妙な二つ名叫んでるヤツは。

  姉:何も言ってないはずなのに、皆さん会場に入る際に3000円もチケット代を払って頂いて…ありがとうございます!

宇都宮:御香典、それ御香典。死者へのお供えとして払うヤツ。

  姉:それに今日来られない方からも、こんなにたくさんのお祝いの花を頂戴しました!

宇都宮:供花、それ供花。真ん中にキャノーラとかAGFとか入ってるヤツ。

  姉:また、弔電も多数頂いてますけど、時間の関係でお名前のみご奉読させていただきまーす。
    加護亜依様、菊池亜美様、倖田來未様、misono様…

宇都宮:ここでまさかの本家勢揃い!?

  姉:コーリー・ハート様、ジャスティン・バーランダー様、エドウィン・エンカーナシオン様。
    他にも多数頂いてますが、時間の都合で省略致しまして御霊前へお供えします。

宇都宮:こっちも本家揃った!? なんで曲名に使われたくらいで現役メジャーリーガーが二流アイドルに弔電出すの!?

なつき:みんなホント優しいね~。 こんなにたくさんの人に愛されて死ねるなんて、アタシも天国で喜べるよ!

宇都宮:自分で愛されるって言っちゃうのねこの子は。 そういう台詞、普通遺族側が言うものよ。

  姉:お返しと言ってはなんですが、3000円払って頂いた方にはもれなくこの『なっちゃん特製クリアファイル』を差し上げます!

なつき:7種類+シークレット1種類の全8種類だよー! みんな集めてねー!

宇都宮:葬式で物販とか、商人魂が腐ってやがる。

  姉:5000円出してくれた方には、更に『なっちゃん特製プロマイド』を3枚差し上げます!

なつき:今日限定の遺影仕様だよ! おうちの仏壇に飾ってね!

宇都宮:あの世で親鸞に木魚で撲殺されればいい。

  姉:そしてなんと! 1万円を払って頂いた方には! 『天国でなっちゃんと1日デートできる券』を進呈致します!

なつき:これさえあれば、もし病気や事故で死んじゃってもヘーキだね!

宇都宮:ヘーキじゃねーよ。アメリカンダイレクトの方がよっぽど有用よ。

  姉:なおこの後、2次会は火葬場で予定しておりますので、もしよかったら来てくださーい!

なつき:みんなが見に来てくれたら、アタシ燃えちゃうよ~!

宇都宮:ま、来なくても燃える運命なんだけど。

  姉:火葬場に来て頂いた方には来場特典としまして『なっちゃん特製抱き枕カバー』を

宇都宮:皆さん、御焼香の時間です。

  姉:…………。『なっちゃん特製抱き枕カバー』を進呈しま

宇都宮:火葬場への移動時刻が迫っておりますので御焼香の時間です!!

  姉:えー……。

なつき:お姉ちゃーん、あの司会の人ひどいねー。

  姉:きっと心が貧しい人なんだよ…。可哀想に…。

宇都宮:御会葬の皆様は順次御焼香をお願い致します。ご遺族の皆様は、左右に分かれてお並び下さい。

  姉:はーい、お焼香上げられる方は受付で配布された整理券をお持ちなって、こちらに並んで下さーい。

なつき:ありがとねー!(握手) 今日は来てくれてありがとー!(握手) はいっ、元気に死んでます!(握手)

宇都宮:御焼香ってそういう会じゃないのよ!!??

  姉:2列に並んでお進みくださーい。
    アイドルは万が一ナイフで斬られても血は流れませんので斬りたい方はザックザク斬っちゃって下さーい。

なつき:がんばりまーす!(握手) これからもよろしくね!(握手) (ザクッ)ぎゃああああ!

宇都宮:堂々と傷害事件が起きてる異常空間が……。や、この場合は死体損壊なのかしら……。

なつき:(ザクッ)ぎゃあああ (ザクザク)ぎゃあああ (ズバァッ!)ぎゃあああ

宇都宮:刃物の持ち込み多くない!? ファンのくせになんでアイドル斬りたがるの!?

  姉:両手見せてくださーい。はい裏も見せてー。オッケーでーす。アルコール噴きつけますねー。

宇都宮:さっきからお姉さんのスタッフっぷりが、プロい。

  姉:はい、最後の方ですねー。え、チェーンソーですか? …………OKです。

なつき:(ズババババ)うわーん!

宇都宮:…………えー、以上をもちまして故?前橋なつき様の葬儀ならびに告別式を終了致します。長時間の御会葬、誠にありがとうございました。

なつき:長かった告別ライブも、いよいよ最後の曲となってしまいました…。

宇都宮:あの

なつき:最後の曲は、アタシがこの世で一番好きだったおばあちゃんを亡くした時に、出来た曲です。

宇都宮:あ…。

なつき:幼稚園の頃はいつも送り迎えしてもらって、大きくなってからも色々面倒見てくれた、瀬川瑛子が好きだったおばあちゃん……。

宇都宮:…………。

なつき:亡くなったと聞いた時、ショックでショックで、何もする気が起きなくて……。
    でも、おばあちゃんを気持ちよく天国に送ってあげたい!
    そんな前向きな気持ちを歌にしました。
    聞いて下さい。





    『南妙法蓮華経』

宇都宮:出棺です!!!

なつき:(納棺)